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アーダ〔新訳版〕 上(9784152097101)

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アーダ〔新訳版〕 上

著者:ウラジーミル・ナボコフ/若島 正

出版社:早川書房 (2017年09月21日頃)

ISBN-10:4152097108

ISBN-13:9784152097101

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P.19 の気になるフレーズ

後年になって、プルーストを読み返すたびに、(もう二度と、香料入りのくちゃくちゃしたトルコ菓子をおいしいと思えなくなったのと同じで)高波のような消化不良と砂利がきしむような胸焼けを覚えるようになった。しかし、華麗な美文の中でもとりわけ好きなのは、相変わらず「ゲルマント」という名前に関する一節で、その色調と隣接する彼の群青色が心のプリズムの中で混ざり合い、ヴァンの芸術家としての虚栄心を心地よくくすぐるのだった。

総コメント数:8 投稿日時:2018-03-05 08:42:05

P.33 の気になるフレーズ

 以上の様な事柄を、本書の再読者に対して控え目な語り手がわざわざ念押ししておかねばならないのは、一八六九年(驚異の年では決してない)の四月(私が大好きな月)、聖ジョージの祭日に(ラヴィエール女史の涙もろい回想記によれば)、ディーモン・ヴィーンが恨みと哀れみ(そんなに珍しくはない組み合わせ)からアクワ・ドゥルマノフと結婚したからである。

総コメント数:3 投稿日時:2018-03-07 13:26:19

P.47 の気になるフレーズ

二十世紀の中頃になって、自分の過去の最深部を再構築しはじめたとき、(再構築が追求する特別の目的のために)本当に大切な幼年期の細部というものは、少年期や青年期という後のあちこちの段階で、部分をよみがえらせながら全体を活性化する突然の照応となってふたたび現れる、そのときにこそいちばんうまく扱えるのだし、そのときにしか扱えないこともよくあるのだ、とヴァンはすぐに気がついた。初めて経験した大怪我や悪夢よりも、ここで初恋が先に来るのはそのためなのである。

総コメント数:1 投稿日時:2018-03-07 13:37:56

P.48 の気になるフレーズ

事のついでに、半開きの薔薇に触れてみたら、無味乾燥な感触がするとばかり思っていた予想は裏切られ、指先にひんやりとした生命は突き出した唇で接吻したのだった。「うちの娘は」と驚いたヴァンを見てタピロフ夫人が言った。「お客様をかつごうと、偽物の中にいつも何本か本物を挿しておくんですよ。

総コメント数:1 投稿日時:2018-03-07 13:45:43

P.55 の気になるフレーズ

アーダの黒いジャケットと、アネモネ、姫立金花(ヒメリュウキンカ)、苧環(オダマキ)で作ったピンク・イエロー・ブルーの花束が、楢製のスツールの上に置かれていた。

総コメント数:1 投稿日時:2018-03-07 13:54:49

P.55 の気になるフレーズ

「クリームはどう? ロシア語は話せるのかしら?」お茶を注いでやりながら、マリーナがヴァンにたずねた。「その気にさえなればすらすらと」とヴァンは、かすかな微笑みを浮かべて答えた。 「ええ、クリームをたっぷり、それとお砂糖を三個」

総コメント数:3 投稿日時:2018-03-07 14:08:59

P.64 の気になるフレーズ

「そうね、なんだったら見せてあげてもいいわよ」とアーダはヴァンの方を向いて言った。「とんでもなく最高に素敵な、エクストレマデュラのファン・デ・ラブラドールが描いた静物画があるの――黒を背景にして、金色の葡萄と見たこともない薔薇が一輪。ダンがディーモンに売った絵で、ディーモンはわたしの十五歳の誕生祝いにくれるって約束してくれたわ」

総コメント数:3 投稿日時:2018-03-08 12:38:03

P.68 の気になるフレーズ

ヴァンは開けられそうな窓を探して応接室をいくつかさまよった。角の部屋で、背の高い窓のそばに、昨日の晩にちらっと見た(そしてじっくり調べてみようと心に決めた)若い部屋付き女中が立っていた。身に纏っているのは、彼の父がいささかおどけた好色そうな表情を浮かべて口にする言葉を借りれば、「侍女の黒にぶるぶるするフリル」だった。

総コメント数:1 投稿日時:2018-03-08 12:47:30

P.70 の気になるフレーズ

「ごめん」とつぶやいたヴァンは、彼女の奇妙に悲劇的な口調にすっかり気が萎えてしまい、自分が主役なのにその一場面しか思い出せない劇に出ているような気分になった。

総コメント数:1 投稿日時:2018-03-08 12:53:41

P.72 の気になるフレーズ

頭上では菩提樹の枝が楢の木の枝へと向かって伸び、まるで緑色のスパンコールを鏤めた美女が、空中を飛んでつかまろうとしている図のようだ。あのときですら、私たちは二人とも、そういうこの世のものとは思えね美を理解していたのだ、あのときですら。(中略)
「わたしもずっと前に発見したわ。菩提樹は空中ブランコ乗りのイタリア娘で、歳取った恋人は苦悩をこらえ、それでも毎回彼女を受けとめるの」

総コメント数:1 投稿日時:2018-03-08 13:05:22

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