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NO. 00016555 DATE 2024 11 22

馬鹿たちの学校 の読書会ページ

馬鹿たちの学校(9784309205533)

馬鹿たちの学校

著者:Sokolov,Sasha,1943- 東海,晃久

出版社:河出書房新社 (201012)

ISBN-10:4309205534

ISBN-13:9784309205533

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気になるフレーズの投稿一覧

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P.7 の気になるフレーズ

どうして川には行かなかったのかな。川の渦と澪、風と波、淵と深みに茂る水草が怖かったからさ。それとも川なんてなかったのかな。そうかもね。でもあの川は何て名前だったっけ。その川の名前はね。

総コメント数:3 投稿日時:2019-06-08 10:28:20

P.8 の気になるフレーズ

同僚のパヴロフがいい例さ。彼は生理学者で、色んな動物実験をし、自転車によく乗っていたんだ。(中略)犬はベルの音で食事を貰うのに慣れると、パヴロフが餌をやらずにベルを鳴らすだけで、もう犬たちは興奮して涎を垂らしたとある――とにかく驚きだよ。パヴロフには自転車があって、アカデミー会員でもあるような学者が自転車によく乗っていたのさ。(中略)ハンドルについてるベルなんか、まるで実験の時のとそっくりさ。それに、パヴロフの長くて白い顎鬚は、あの僕らのダーチャ集落に昔住んでいた、いや、ひょっとして今も住んでるのかな、ミヘーエフにそっくりなのさ。

総コメント数:1 投稿日時:2019-06-08 10:45:23

P.10 の気になるフレーズ

――ちなみに、そのお隣さんの苗字を覚えているかい。覚えてないし、そんなすぐには思い出せないよ、名前を覚えるのは苦手だし、それに大体、そんな名前とか苗字ばっかり覚えたって何の意味があるってんだよ――そうだろ?そりゃそうだけど、でも、苗字を覚えていたなら、話が早いってもんじゃないか。だけど苗字は仮名にしたって構わないさ、苗字なんて――どのみち――全部仮のものだし、たとえそれが本物だとしても。でも逆に、ある人のことを仮の苗字でよんでみろよ、そうしたら僕らがさも何かの作り話で他人に嘘を言って騙そうとしてるって思われるさ、(後略)

総コメント数:2 投稿日時:2019-06-08 11:00:17

P.13 の気になるフレーズ

だが、枝は花弁を閉じて眠ったままで、列車たちがレールの接合部の躓いたとしても、どうしたって枝の目を覚ますことも出来なければ、ひと雫の露さえ振るい落とすことも出来ない――眠れ眠れクレオソートの染み込んだ枝よ朝に目覚めよ、花開かせて咲き誇れ花弁を腕木信号機の目玉に振り掛けよ木製の心臓の拍子に合わせて踊りつつ駅毎に笑え乗客と出発客に身を売ってしまえ泣け喚け鏡張りのコンパートメントで裸になりながら君の名前は何て言うのあたしの名前はヴェートカよあたしアカシアのヴェートカよあたし鉄道のヴェートカっていうのあたしナイチンゲールって名前の優しい鳥の子を孕むヴェータよ次の夏と貨物車に孕まされたのほらさああたしを持ってってどうせあたしなんか花を散らすんだし全然高くなんかないんだしあたし駅で買ったら一ルーブルとしないわ切符で身を切り売りしてるのよなんならキセルして乗ってけばいいわ検札官は回ってこないの…

総コメント数:2 投稿日時:2019-06-08 11:18:40

P.13 の気になるフレーズ

今病気だからちょっと待ってね自分で脱ぐからほらどうあたしって雪みたいに真っ白でしょいっぱいいっぱいあたしにキスを浴びせてちょうだい誰にも気付かれないわ白地に花弁は目立たないのあたしもうこんな生活に飽き飽きだわ時々自分って道床に沿って真っ赤に燃える蒸気燃料の燃え滓で一生ずっと進んで行くただの婆さんに思えるの見るのもおぞましい婆さんよそんな婆さんになんてなりたくないわあたしのいい人嫌よ知ってるんだからもうすぐあたし線路の上で死ぬんだわあたしはねあたしね痛いのこれからも痛いわ死ぬ時は放してねこの重油に塗れた車輪を解放してあげてあなたの掌何を着けているのかしらあなたの掌はこれって手袋なのかしらあたし嘘を言ってしまったわあたしはヴェータ純白の小枝よ今が盛りのあたしなのあなたにそんな権利はないわあたし沢山の庭先に住んでるの怒鳴らないで下さるかしら怒鳴ってなんかいないさあれは対向車両が怒鳴っているのさ

総コメント数:1 投稿日時:2019-06-08 11:28:30

P.14 の気になるフレーズ

ドコドンドンどうしたんだいドコドンドン何なのドコドンドン何なのドコって誰なのそこにいるのは誰なのドンさ何処あそこさあそこさあそこさ白のヴェータちゃんシロヤナギシロヤナギたち枝あそこ窓の向こうのあの家でドコドンあの誰のこと何のことヴェートカのことシロヤナギの風のことチリトテチンチン電車でんしゃんパン今晩は乗車券を拝見じょうしゃけんですよ無いってなんです買い忘れてレーテない忘レーテの河なかったお客さんには色のシャンパンヴェータ色アルファ色ヴェータガンマなどなど何その先が分んないのは誰一人僕らにギリシャ語のいろはを教えたがらなかったからだよありゃ連中にすりゃ許しがたい間違いさあの連中のせいで僕らはまともに一艘の舟も数えられないんだからね疾駆するヘルメスは花に似てるけどここんとこそこんとこここんとこ岬はホーン頭吹き飛ばして太鼓はもちろん叩くんだよドコドンドンとね質問だけどこれって車掌なの?

総コメント数:2 投稿日時:2019-06-08 11:41:09

P.28 の気になるフレーズ

私たちのカレンダーはあまりに仮のものでありすぎて、そこに書いてある数字だって、何を指し示しているわけでもなく、偽札のように何のお墨付きもない。例えば、一月一日のあとに二日が来ても、すぐに二十八日は来ないのは当然だなんてどうして言えるでしょうか。そもそも日が一日一日と続いて行けるものでしょうか、それって詩的な戯れ事か何かなんですよ――

総コメント数:2 投稿日時:2019-06-23 16:10:44

P.30 の気になるフレーズ

(前略)きっとこの発作はうちの祖母が、元祖母が苦しんでいた遺伝性の病気の発作に違いないと考えたのです。間違いは直されなくて結構です、今ハ亡キではなくモトという言葉はわざと使っているんです、同意して頂ければいいのですが、モトと言う方が聞こえが良くて、やんわりしていて、それにさほど絶望的という感じもしません。それにです、祖母がまだ私たちと一緒だった頃、時々記憶を失うことがありまして、それはとにかく、何か途轍もなく美しいものを長々と見ていたりするとよく起こってました。

総コメント数:2 投稿日時:2019-06-23 16:24:04

P.32 の気になるフレーズ

親愛なるレオナルド様、すべてはもっと深刻だったんです、つまりそれは、私が消滅の一段階にあったということです。つまりです、人間が瞬間的に跡形もなく消えてなくなるなんてことはあり得ません、先ずは何か形や実体の点で自分とは異なる何かに変容するものです、――例えば、ワルツに、遠く離れたところに微かに聞こえる晩餐会のワルツとかに変容するのです、つまり先ずは部分的に消えてゆき、その後で完全に消滅するわけです。

総コメント数:2 投稿日時:2019-06-23 16:32:56

P.34 の気になるフレーズ

岸の一つにいるカッコウが俺の歳を数えていた。俺は自分にいつか質問をし、すぐに答えようとしたけど答えられなくて唖然としたんだ。で、それから俺の中で何かが起こったんだ、そこで、中で、心の中と頭の中で、まるで自分のスイッチが切られた感じだった。するとすぐに俺は自分が消えてしまったと感じたんだけと、最初はそんなわけないと思ったし、そんなこと信じる気にもなれなかった。

総コメント数:1 投稿日時:2019-06-28 14:46:06

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